昨日10月25日、モリサワから「MORISAWA PASSPORT アップグレード2018年10月版」として新書体がリリースされました。
前編に続き、本日は後編として「秀英にじみ丸ゴシック」、「エコー」、「オーブ」の3書体を使ってみたいと思います。
↓「しまなみ」、「かもめ龍爪」、「さくらぎ蛍雪」の3書体についてまとめた前編はこちら。
秀英にじみ丸ゴシック
2017年にリリースされた「秀英にじみ明朝」に続く、インクのにじみを再現したシリーズ書体。
線の揺らぎや交差部分のにじみ加工による活版印刷の風合いと、丸ゴシック体ならではのやさしく暖かな表情をあわせもつ見出し用書体です。
うーん!かわいい!ぎゃんわいいです…♡
家庭的なイベントの販促物、お料理のレシピ本のデザイン、手芸用品のコーナーなどなど、ふんわりほっこりシーンに合わせやすいですね!
丸ゴシック系でもポップすぎる書体ではないので、落ち着いたレトロなコンテンツにもマッチします。
文字にラフをかけたり、テクスチャを重ねたり、たまりを調整してみたり…と、既存の書体にあとから手を入れることの方が多いかと思いますが、自然でバランスよくにじみやたまりが表現されているのでこのままで使いやすそうです。これは重宝しそう!
秀英丸ゴシックと秀英にじみ丸ゴシックを並べてみました。
こうやって大きくして見るとにじみやたまりが結構しっかり入っているのがわかりますね。
このにじみ、活版印刷の印影を分析し、太らせ方やゆらぎ量などかなり細かく調整して開発されたとのこと。
にじみ明朝の時にも惚れ惚れしましたが、全体のにじみ具合も、文字の中で接触した部分や交差している部分のたまり方などの細部も、とてもリアルで素晴らしいです。
丸ゴシック体の中でも秀英丸ゴシックが好き!というデザイナーさん多いのではないでしょうか?
丸いけれどお子様すぎず、ふざけた印象にならない。
読みやすくて優しい雰囲気になるのでとっても使いやすい。
それでいてちゃんと可愛らしさをもっている秀英丸ゴシック、大好きです。
エコー
重心が高く直線的なデザインが清潔な印象を与えるデザイン書体。
全角に対して狭めに設計された骨格も特徴の一つです。
プロポーショナルメトリクス(文字詰め機能)を有効にすることで、長体幅(全角に対して約86%相当)での字送りが可能になり、緊張感のある表情を演出。
LからBの三つのウエイトで展開されています。
資生堂書体を彷彿とさせるスッキリとした美しさ。
どこかレトロな感じもありますが古臭さはなく、上品さと可愛らしさのバランスが絶妙。
化粧品やエステ、ヨガなどの美容・健康関係、書籍や番組のタイトルロゴにも合いそうです。
ウェイトが3段階揃っているのも嬉しい。
ダイナフォントの金文体にも雰囲気が似ているな〜と思ったのですが、並べてみたら結構違いますね。
金文体の方が中華色が強く癖も強く、こちらのエコーの方がより日本的で癖が強すぎないという印象。
ウェイトもだいぶ違う感じ。
金文体も美しいのですが、その癖故使い所が難しい書体。
エコーの方がよりカジュアルに幅広く使えそうな印象です。
神秘的で謎めく美しさを醸し出しつつきちんと読めるバランス感はすごい!
オーブ
古代中国で青銅器の表面に刻まれた金文からヒントを得た伸びやかで優雅な骨格と、手書きのニュアンスを残すやさしい表情のかなが特徴の丸ゴシック体風デザイン書体。
エコーと共通の字幅や骨格の設計を持ちながらも、丸く愛らしい流線型の表情が品格とレトロ感を演出します。
最後はオーブです。あぁ、この書体もなんて可愛いのでしょう!
エコーとベースは共通ですが、シャープでキリッとしたエコーに対し、オーブはまぁるく、より自由な印象。
こちらもエコー同様、懐かしさをどこか感じさせるのにモダン。
姉妹書体のエコーのR・砧書体制作所の名作フォント「丸明」シリーズと並べてみました。
エコーのきちんと感に対してオーブの方が風を感じる軽やかな印象。
丸明オールドとは、とめ、はね、はらいなどの先端が丸く処理されている感じが共通点。
縦書きでオーブと丸明オールドを縦書きで並べてみました。
オーブは「純」「永」などのはねがある文字に金文体らしい伸びのある流線型のニュアンスが特徴的に出ているのがわかりますね!
ますますモリサワフォントのとりこに
今回追加の新6書体はどれも「可愛い」がつまった素敵なものでした。
個性と使いやすさを絶妙に両立してくれるモリサワフォント、ますます活躍しそうです。